ファイナリスト展

一次選考委員および最終審査員による選考が行われ、国内外1,346組の応募の中から5組のファイナリストが選出されました。
「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」における各アーティストの展示プランは以下をご覧ください。

川内 理香子かわうち りかこ

「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」展示プラン

身体のありどころはどこだろうか。
コロナウイルスによって、自身の身体や、自分が保有するものへの意識、その境目の曖昧さが顕著になった。今、神話の世界のように、内と外、自己と他者の境は複雑で入り混じってしまうものということを突きつけられていると思う。
今回の展示では、内と外の境目のなさが暗喩される神話をモチーフにした、自然と動物、身体が入り混じる世界を描いた油彩のペインティングとともに、針金の半立体、ネオン管の彫刻を制作し、様々な線のあり方を一堂に展示する。それらが互いに響き合い、重なり合うことで、ネオン管の光の脈動のように、それぞれの線が常に動き続けているようなイメージを感覚できる展示にしたいと考えている。多様な線の中に1つの身体を見せたい。

PROFILE
《Forest of the night》2019 Photo:Shintaro Yamanaka[Qsyum!]

Artist Profile

1990年東京都生まれ。2017年多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻油画研究領域修了。2014年『第1回CAF賞』保坂健二朗賞、2015年『SHISEIDO ART EGG』SHISEIDO ART EGG賞を受賞。主な展覧会に、個展『afterimage aftermyth』(六本木ヒルズA/Dギャラリー、2021年)、個展『drawings』(WAITINGROOM / OIL by 美術手帖、2020年)、個展『Myth & Body』(三越コンテンポラリーギャラリー、2020年)など。

久保 ガエタンくぼ がえたん

「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」展示プラン
「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」展示プラン

ここ(会場)がまだ海の中だった頃。一人の漁師が光り輝く面を引き上げた。それは牛頭天王の面であったことからこの地は天王洲と呼ばれる様になったという。1798年には一匹の鯨が打ち上げられ、それを祀る鯨塚が現在も残されている。その後、黒船に対する海防強化のため第四台場として埋め立てられた天王洲は、海から地へと拡張された。現在、羽田空港新飛行ルートとして会場の頭上450mを航空機が通過している。
太平洋の彼方にいる一匹の鯨の鳴き声から、頭上の航空機が発する轟音まで、繰り返される音がもたらすものとは。海の向こうからやってくる何かによって空間のレイヤーを変容させてきたこの地で、その起源を考察し未来の音を発してみよう。

PROFILE
『MOTアニュアル2020 透明な力たち』(東京都現代美術館)記録写真
2020 Photo:Keizo Kioku

Artist Profile

1988年東京都生まれ。2013年東京藝術大学大学院美術研究科修了。公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員としてフランスにて研修。京都市芸術文化特別奨励者。糺の森会員。主な展覧会に、個展『天の虫』(世田谷美術館、2021年)、『不時着アブダクション』(児玉画廊|天王洲、2021年)、『MOTアニュアル2020 透明な力たち』(東京都現代美術館、2020年)、『KYOTO STEAM 2020』(京都市京セラ美術館 東山キューブ、2020年)など。鑑賞者の身体感覚に訴えかける奇怪なインスタレーションを制作している。

スクリプカリウ落合 安奈すくりぷかりうおちあい あな

「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」展示プラン
「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」展示プラン

ー鎖国と国際結婚から見る、帰属意識の姿ー
本作は、2019年にベトナムのホイアンから始まった、3部作とも言える一連のビデオインスタレーションの第3章に当たる。
2019年ベトナムにて、江戸時代に「鎖国政策」に翻弄されながら異国の地で永い眠りについた、ある1人の日本人の墓と出会った。墓は、日本の方角に向けて建てられている。また墓の主は、鎖国政策によりベトナムのフィアンセとの仲を引き裂かれたものの、海を越えて会いに行く姿が言い伝えとして残されている。1つの墓の存在から、国策や、時に人々を隔てる境界を越えていく個人の想いについて考えさせられる。
ホイアンはかつて日本人街があり、日本による 様々な研究も行われていたが、彼については僅かな情報としての伝説が複数あるということに留まり、正確な足取りを掴むことは困難を極めた。そんな中、墓に刻まれていた情報を頼りに、墓の眼差しの先にある彼の生まれ故郷の長崎の平戸を訪れる。すると、「鎖国と国際結婚」、「隔たりを生むものと、それを越えてゆくもの」を象徴する様々なものとこの土地を通じて出会っていくことになった。時代を超えて浮かび上がってくるものを、映像とサウンド作品として発表する。

PROFILE
《骨を、うめる-one's final home》2019

Artist Profile

1992年埼玉県生まれ。2016年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業(首席・総代)。同大学博士課程在籍。2020年『Forbes 30 UNDER 30』受賞。主な展覧会に、個展『journey』(AKIO NAGASAWA GALLERY AOYAMA、2021年)、個展『Blessing beyond the borders- 越境する祝福 -』(埼玉県立近代美術館、2020年)、『Y.A.C. RESULTS 2020』(ルーマニア国立現代美術館、2020年)など。日本とルーマニアの二つの母国に根を下ろす方法の模索をきっかけに、「土地と人の結びつき」という一貫したテーマのもと様々な素材・手法の作品を、国内外で発表。

持田 敦子もちだ あつこ

「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」展示プラン
「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」展示プラン

仮設的な素材を用いた階段作品で空間を埋め尽くす。鑑賞者は実際に階段に登ることができる。階段は何か所も分岐点があり、立体状の迷路のようになる。階段の上を歩くことで、空間を新たな視点から捉えることができる。作り、分解し、また作り直すことができる階段を使い、できる限り多くのルートを空間上に設定し、選択肢を提示する。
階段は2013年より何度も手がけてきた私にとって重要なモチーフである。足を一歩あげるという単純な行為、そしてその足を受け止める台、その組み合わせで空間をどこまでも探求していくことができる。

PROFILE
《T家の転回》2017 Photo : Ryuichi Taniura

Artist Profile

1989年東京都生まれ。長野県在住。2018年東京藝術大学大学院先端芸術表現学科、バウハウス大学大学院Public Art and New Artistic Strategies修了。公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員としてドイツ、シンガポールにて研修。2018年『アートアワードトーキョー丸の内』今村有策賞、2018年『CAF賞』齋藤精一賞を受賞。主な展覧会に、『近くへの遠回り』(Centro de Arte Contemporaneo Wifredo Lam、国際交流基金、2018年)、『リボーンアートフェスティバル』(2019年)、『2020年のさざえ堂 – 現代の螺旋と100枚の絵』(太田市美術館・図書館、2020年)など。

山内 祥太やまうち しょうた

「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」展示プラン
「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」展示プラン

人間とテクノロジーの恋愛模様をパフォーマンス・インスタレーションとして描き出す。
人間とテクノロジーは「皮膚の服」を通して一つになろうと試みる。
テクノロジーは人間の持つ有限の黄昏に、人間はテクノロジーの持つ無限の銀河に想いを馳せる。
抱きしめあっているのかそれとも拘束しあっているのか、互いは私秘的距離の海へと溺れてゆく。
人間がテクノロジー依存症であると同時にテクノロジーもまた人間依存症なのである。
テクノロジーを愛しながら、人間も愛するためにはどうしたらいいのか。
快楽と絶望の中間領域を見つけ出し、現在生きる我々人間の性に投影したい。

PROFILE
《我々は太陽の光を浴びるとどうしても近くにあるように感じてしまう。》
2021 Photo:Koichi Takemura

Artist Profile

1992年岐阜県生まれ。神奈川県在住。2016年東京藝術大学映像研究科メディア映像専攻修了。主な展覧会に、『第二のテクスチュア(感触)』(Gallery TOH、2021年)、『水の波紋2021展 消えゆく風景から ― 新たなランドスケープ』(ワタリウム美術館、2021年)、『多層世界の中のもうひとつのミュージアム——ハイパーICCへようこそ』(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]、2021年)、『六本木クロッシング2019:つないでみる』(森美術館、2019年)など。

ファイナリスト展概要

「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」では、倉庫をリノベーションした、無機質でありながら何色にも染まり、アーティストの世界観・才能を開花させる空間を舞台に、ファイナリスト5組が「TERRADA ART AWARD 2021」へエントリーした展示プランによって独自の展示を創り上げ、未発表の新作を含む作品を発表します。
会期初日には、最終審査員の片岡 真実氏、金島 隆弘氏、寺瀬 由紀氏、真鍋 大度氏、鷲田 めるろ氏からファイナリストへ授与する各審査員賞が発表されます。また会期中には一般投票を実施し、オーディエンス賞も決定いたします。

オーディエンス賞 1組:100万円

「TERRADA ARTAWARD 2021 ファイナリスト展」では、観覧者の投票によりオーディエンス賞1組を決定いたします。ぜひ実際の作品をご観賞の上、展示会場にてご投票ください。オーディエンス賞に選ばれたファイナリストには、賞金として100万円を授与いたします。

会期
2021年12月10日(金)~12月23日(木)
※会期中無休
時間
11:00~19:00(最終入館 18:30)
入場料
無料
予約方法
  • ご希望の日時を予約フォームよりご指定の上、予約へお進みください。
  • ご予約の時間枠内であれば、いつでもご入場いただけます。
  • ご予約の時間枠を過ぎてのご来館はご遠慮ください。
  • 入れ替え制ではございませんが、混雑時は最大90分程度のご滞在にご協力ください。
  • 再入場はできません。
予約する
会場
寺田倉庫 G3-6F
(東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫G号)
GoogleMap
アクセス
東京モノレール羽田空港線 天王洲アイル駅中央口 徒歩5分
東京臨海高速鉄道りんかい線 天王洲アイル駅B出口 徒歩4分
※施設内に駐車場はございません。お近くの有料駐車場をご利用ください。

選考員総評

最終審査員(二次選考を終えて)

片岡 真実

森美術館館長、 国際芸術祭「あいち2022」芸術監督

コンセプトやリサーチ・トピックに見る複雑さや複層性に対して、最終的な展示案から想像される体験の説得力が脆弱、という構図が全体的に顕著だった。アイディアを視覚的、構造的、空間的なアウトプットへと明快に転換するスキルは、TERRADA ART AWARDが目指すグローバルな舞台では確実に求められるものだが、その意味でファイナリスト5名の提案は、異なる関心事を固有の表現方法によって質の高い芸術作品へと昇華することが期待できるものだったといえるだろう。

金島 隆弘

ACKプログラムディレクター、京都芸術大学客員教授

寺田倉庫が現在取り組んでいるアート事業を有機的に繋ぎながら一新された今回の「TERRADA ART AWARD 2021」には、実に数多くの応募がありました。「前例は、あなたが創る」のテーマに相応しいユニークな提案も多く、二次選考に進んだアーティストからファイナリストを絞る作業も困難を極めました。応募作品のレベルの高さも理由の一つですが、最終審査員の現代アートに対する多様な視点、今の時代の中での現代アートのあり方の変化もその要因であり、このAWARDの審査への参加を通じて、改めてその状況を肌で感じることができた機会にもなりました。
ファイナリストに選ばれた5名は、寺田倉庫内の空間での展示を想定したそれぞれのプランの実現に向けて、これから準備に取り組むことになりますが、制作する作品が、技術や説明、コンセプトを飛び越え、圧倒的な表現として鑑賞者を取り込んでしまうような、そんなチャレンジを期待したいです。

寺瀬 由紀

アートインテリジェンスグローバル ファウンディングパートナー

未曾有の事態の真っ只中にいる2021年、誰も想像もしていなかった非現実の現実を我々は今生きています。人も物の物理的な動きも以前よりずっとスローダウンしているはずなのに、毎日朝から晩まで溢れ出す情報の洪水から水面に這いあがろうともがく不思議な日々。実際私自身も一時帰国もままならない中、今回のアワードの審査はそういった世界の変化に繊細に反応しているアーティストの皆さんと応募書類を通じて対話をしているような感覚に陥りました。私は今日本を出て大分経ちますが、現在日本国内では過去になかったレベルで現代美術への関心が高まっていると聞き、今回のアワードもそれを反映する応募数があったと伺っています。関心が高まっていることは喜ばしいことですが、それが一過性のブームではなく、継続していくよう我々も、アーティストの皆さんも、一緒に協力共闘共存していかなければなりません。そんな強い決意と願いを込めて。このアワードが息の長い、才能を導くプラットフォームとなりますように。

真鍋 大度

ライゾマティクス ファウンダー、アーティスト、インタラクションデザイナー、プログラマ、DJ

今回の応募では非常にバラエティー豊かな作品が揃い、現代アートという一つの枠で括ることの限界を感じると同時にフォーマットやメディアの多様性が生み出す混沌を観察することが出来た。一方で最終的に残った作品はインスタレーション作品が多く、審査や作品の傾向を一つ垣間見ることが出来たのではないだろうか。審査員によってさまざまではあるが、私は以下の様なことをクライテリアとして審査、評価に当たったことを記しておく。コンセプトが明確・明瞭か、好奇心がどこに向かっているか、作品が持つ社会的・政治的な意味はあるか、作品が持つインパクトがあるか、活動がユニークか、未来を切り開くポテンシャルがあるか、技術・クラフトのチャレンジがあるか、そして作家が表現を探究しているかどうか。この様に複数のベクトルで作品を審査したが、甲乙付け難い作品が並び最終審査に僅差で残った作品も多い。応募された作家は審査の結果に左右されずこれまで通り鋭意制作して欲しい。

鷲田 めるろ

十和田市現代美術館 館長

川内は身体性を感じさせるドローイングとネオン管などによる空間への広がりが面白く、自分の関心に沿って作品を積み重ねてきた安定感を感じる。久保は、東京都現代美術館で見た地震の揺れと音の振動を関係づける体感的な作品に惹かれた。今回も天王洲の場所に合わせた提案に期待。移動や距離を扱う落合は、自らのアイデンティティとも関係するような作品で、カーテンに海の映像を投影する展示のスマートさも魅力。持田は、既存の建物への大掛かりな介入が破格だが、今回、展示空間でどこまで面白く見せられるか。山内は映像技術を使った身体イメージの拡張をインスタレーションでうまく伝えられるか。多様性に富むセレクションになったと自負している。

一次選考委員

飯田 志保子

キュレーター、国際芸術祭「あいち2022」チーフ・キュレーター(学芸統括)

社会的にも物理的にも人との距離を求められる、この特異な時代の顕れを強く感じました。行動に(自主)制限があるためか、あるいは作家としての展示発表歴が1年以上10年未満というキャリアのためか、国際的な視座よりも日本国内や自らの日常に根差した表現が多かったように思います。そのなかでも、表現領域を問わず、現代社会に対して個人の視点から問題意識を投影した応募者が印象に残りました。
その一方で、自ら設定した芸術表現固有の課題や、生の証としての表現など、時勢や社会を反映するより普遍的な表現欲求に基づく作品も多く見ることができたのは、本審査において刺激的なことでした。

小川 希

Art Center Ongoing 代表

現代の日本において、これだけ多くのアーティストが真剣に自らの表現を志しているということにまず驚きを覚えました。表現方法やコンセプトなども多様でそのことには希望が持てましたが、ただこちらの予想を超えてくるような表現を展開している作家はそれほど多くはいなかった印象を受けました。私たちが生きている現代社会において本当に必要なアートとは何かという問いに対して、これまでのコンテキストや価値観を今一度疑うことから始めること、そこからしか新たな魅力あるアートは生まれることはないのであろうと、審査を終えて感じました。

高橋 瑞木

CHAT, Centre for Heritage, Arts and Textile エグゼクティブディレクター兼チーフキュレーター

パフォーマンス、ダンス、メディア・アートの応募が非常に多かったのと、日本全国各地からの応募があったことが印象的でした。
当たり前のことかもしれませんが、アートとは美術館やギャラリーといった美術の展示に特化した場所のみで発表、鑑賞されているわけではなく、さまざまな日常の生活空間で展開されていたり、幅広い層が参加し、それぞれの方法で理解されているものだということを再確認しました。応募書類から伺えるアートの多様性と、TERADA ART AWARDが目指す方向性がどのようにシンクロするのか興味深く見守りたいと思います。

高橋 龍太郎

精神科医、現代アートコレクター

アートとマーケットは程よい距離を保ちつつというのが健全な姿だと思うのですが、ともすればマーケット主導というのが、最近の傾向かと思う。それを是正していくにはもっとアートの側が自律的力をつけなければならないところです。応募作品は、そんなことを杞憂に思わせる程、熱量を感じさせるものが多かった印象です。しかも幅広い表現が目立ち、新しい時代のアートのあり方を感じさせてくれました。

現代アートチーム 目[mé]

アーティスト 荒神明香、ディレクター 南川憲二、インストーラー 増井宏文

とても大事な経験をさせていただきました。まず、応募されたアーティストの活動が、高い意識と技術を持ち洗練された作品と言えるものが多いことに驚きました。そして更に、どこにも収まらない、まるで理に適わないような活動もいくつかありました。誰にも理解されないことへの覚悟と、同時にそれとは全く矛盾するように、どこまでも伝わるということを信じて作られた作品。作者固有の「実感」と「本当」によってしか、生まれ得ることがなかったもの。私たちにとっては、それはまさに「挑戦」と言えるものでした。そんな「挑戦」によってファイナリストに進まれた方には、もう思う存分、力を発揮して欲しいと思います。また、今回は結果に繋がらなかったとしても、本当の「挑戦」をされているアーティストの方々には、心からの敬意と共に「伝わってるよー!」と、エールを送りたいです。自分たちも作り手として、負けないように挑戦を続けたいです。

森 司

公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 事業推進室事業調整課長、女子美術大学芸術学部アート・デザイン表現学科アートプロデュース表現領域 特別招聘教授

応募件数の多さが、若きアーティストが世に問える場所、登竜門となる場を渇望(必要)としている実情を垣間見た気がしています。
平面絵画の応募数が多く、ペインティングに魅了され、且つそこに新しい可能性を探求する姿勢を強く感じました。コレクティブな形で複数の作家が共創するワークが少ないことも気になった点となります。
社会状況との間合いのとり方は、今後ますます問われるようになるとおもっていますが、その移行する過渡期かと思う反面、表層的な応答ではなく、各人のアート観をベースにする独自の歩みをされているようにも思えました。

山本 憲資

Sumally Founder & CEO

想像以上にクオリティが高い作品が多く、審査は楽しくそしてエネルギーの要るものでした。写真だけではなくて、実物を見てみたいなと強く思わせる作品もたくさんありました。社会の混迷が増していく中、みなさんもその混迷と対峙しながら制作をされていることがよく伝わってきました。時代の方位磁針としても、アートがますます必要とされていく時代なのでは、と日々感じています。
作家が自分と向き合い続けることでじわじわと炙り出されるパーソナリティと技術の積み上げがうまく融合し、そしてそれらがうまく時代とシンクロしたタイミングこそがアーティストとして飛躍していくタイミングになっていくのだと思うのですが、今回のアワードが応募されたみなさまのそういった機会のひとつになることを願いながら、今後のますますのご活躍を楽しみにしています。